『僕の小規模な失敗』の中でも度々触れられていた「やはりエロマンガだと思うんだよ」(P142)に該当する漫画が何なのかずっと気になっていたのですが、本書ではそれらが採録されています。福満さんも自ら「変に個性を出そうとしたりせず、ただ期待されているものを言われるがままに描こう!!」と“あとがき”で述べていますが、確かに「お嬢様麗華の社会科見学」は同人誌萌え系エロ漫画として紹介されればそのまますんなり通りそうですし、「読者の実体験の投稿」6作はエロ雑誌に良くある企画漫画です。例の絵柄ながらなかなかえげつな描かれていて、「こんなのも描いていたんだなあ」と感嘆しました。
普通ならただ消費され消え葬り去ってしまうこの手の漫画が単行本として刊行されるのは福満さんの本気作品のクオリティによるものです(本書なら冒頭2作と表題作が典型)。「現代のつげ義春」と評価される由縁ですが、しかし私は「売れ線を目指しながら個性を出してしまって奇矯になった作品」に魅力を感じます。本書で言えばお題付きの4作と「透視!!超能力青年Zと物体X」がそれです。毎度おなじみのシュールな展開。極度に内向的な青年と、パワフルなおじさん・じいさんとのコラボ。そしてスコーンと抜けたエンディング。特に「透視!!…」の女性には福満さんの現夫人とその恋愛の影があります。
実は絵のタッチも今回のエロ漫画のものが一番脂がのっているように思うのです。ごく初期の神経症的細かさの描線からぎこちない中の艶やかさ(本書「おねえさんのキック」等)へ。そして一番新しい部類の作品では描線が軽く稀薄になっている様に思うのです。類推するに、女性の裸を描く時はペンを違えているからなのか、または白地を基調とした絵柄になるので斜線の書き込みが少ないからなのか…。ともかく久々にフアンになった漫画家ですから今後も彼の発展ぶりを追っていきます。いつか伝説になる漫画群です。