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やすらい花
 
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やすらい花 [単行本]

古井 由吉
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

日常の営みの、夢と現、生と死の境目に深く分け入る8篇。待望の最新連作短篇集。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

古井 由吉
1937年、東京生まれ。東京大学大学院独文科卒。71年「杳子」で第64回芥川賞を受賞。80年『栖』で日本文学大賞、83年『槿』で谷崎潤一郎賞、87年「中山坂」で川端康成文学賞、90年『仮往生伝試文』で読売文学賞、97年『白髪の唄』で毎日芸術賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 単行本: 268ページ
  • 出版社: 新潮社 (2010/03)
  • ISBN-10: 4103192097
  • ISBN-13: 978-4103192091
  • 発売日: 2010/03
  • 商品の寸法: 19.4 x 13.8 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 121,718位 (本のベストセラーを見る)
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By JFJFJF
形式:単行本
著者の随筆集「人生の色気」に深く感動し、最新短編集であるこの本を手に取りました。人生の色気
人生のすべてを受容しつつ、人生に妥協しない作者の姿勢に深く感銘。
現実はあまりにもこの小説に似ている。
どの短編も素晴らしい境地を示していますが、中でも「生垣の女たち」はすごかった。
このレビューは参考になりましたか?
形式:単行本
老いてなお狂奔にある老醜の躁がしい今の世にあって、このしっとりとした朝靄のような淡い静寂はどうでしょう。
処女作から40年余りを経た古井氏のこれまでの歩みは、小説の可能性を尽くしての、ある生の佇みを求めて境域を探る遍歴でした。病と健の境界で女は佇み(『杳子』)、生と死の境界を女は司どり(『聖』)、性の境界で女と男は解けかかり(「眉雨」)、死と生の境界が果てなく往来されました(『仮往生伝試文』)。境域は滲み、拡がっていきました。不穏と平穏の狭間に静穏が拡がり(『楽天記』)、官能の溶け合ったところから新たな官能が開きました(『聖耳』)。こういった古井氏の歩みは、本作品集でひとつの極北に到達したようです。自と他が、老と若が、病と健が、女と男が、未来と過去が、不穏と平穏が、往と来が、死と生が、醜と美が、聖と俗が、あはれとをかしが、永遠の現在の内に交じって靄と立ち込め、そこからそれでも生と呼ぶしかない滴が、一滴一滴淡い光を湛えて滴っています。言葉と沈黙から織り成された節度ある叙述が、概念的理解を超えた、心象と形象を超えた生のイメージで、読む者の内を遍く浸します。そしてそれは喧噪に脅かされた生活にあってさえ、精神と肉体を解きさえすれば、私たちにも開かれる生の様相なのです。
官能や感情といった外殻で隠蔽された源からの生の湧出を、言語によってのみ可能な形で体験させてくれるか否かというのは、文芸作品を評価するひとつの基準となるでしょう。その基準に照らしてこの作品集を読むならば、小説という形式において紛れもなく窮みの近くに位置します。ここから先は詩歌の役になるかと思われるのですが、これまでの古井氏の歩みに思いを致すと、小説の可能性を更に尽くすのかとも思われます。その時、小説はどのような様相を見せているのでしょうか。
文学に留まらない、日本の芸術のメルクマールとして読み継がれるべき作品集でしょう。
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