映画のモティーフはご存知の「やじきた」です。そして「てれすこ」は落語から題材を取っています。収められたエピソードの数々は、古典落語を上手くアレンジして提供していますので、「軽みの極致」とでもいうべき芸が随所で見うけられました。
中村勘三郎が新粉細工職人の弥次郎部衛を、柄本明が下手な歌舞伎役者の喜多八を、小泉今日子が遊郭の花魁のお喜乃を演じます。この芸達者な三人の珍道中がみものです。勘三郎の自然でありながら軽妙で洒脱な演技がステキですし、柄本明の怪演ぶりはハンパではありません。キョンキョン扮するお喜乃の艶やかさも良い味を出していました。
脇役も豪華な顔触れです。笑福亭松之助、淡路恵子、間寛平、ラサール石井、波乃久里子、ほしのあき、麿赤兒、松重豊、吉川晃司、鈴木蘭々、國村隼、笹野高史、藤山直美など、皆一癖も二癖もある個性派の役者ですから、スクリーンに映し出されるだけで嬉しくなってきます。贅沢な布陣ですね。CGとセットと実写を上手く散りばめ、花街、宿場町、農村の様子など江戸時代の生活ぶりを手に取るように見せてもらいました。丁寧な景観の描写だと感じました。
ほのぼのとした軽妙な世界を見せてもらい、日本映画界の未来の明るさと希望を感じることができました。このような乙な映画を作れる余裕がいいですね。
時代物の映画なんて、という先入観を持たずに見てほしい作品です。
平山監督によりますと「てれすこは、人間の中に必ず在るもの。夢を見させてくれるもの」だそうです。