味の素'鰍ナ遺伝子組み換えワクチンを研究後、現在国立感染研究所でエイズワクチンの開発に取り組む著者の、免疫システム入門。免疫の基本的な仕組みと、ガン、インフルエンザ、アレルギー、エイズなどの代表的な病気と人間との戦いを、免疫の仕組みをふまえながらわかりやすく紹介。「この章を一度おさらいしてみましょう」という親切な書きっぷりで、楽しく読めました。分子細胞生物学という分野が少しわかってきたかも。特に面白いのが、著者専門のエイズに関する章。感染から症状の進行・発症までのプロセスをわかりやすく説明する一方、「日本での避妊器具の出荷割合がこの20年で40%に低下(理由はピルの浸透)している」ことを指摘、日本人の予防意識の低下に警笛を鳴らします。また、エイズの機会にさらされながらも陽性反応を示さないアフリカの一部の売春婦らの体のある箇所の粘膜から注目すべき抗体が発見されたことも紹介。鼻や腸など経粘膜ワクチンの可能性を示唆します。そして、最後に種痘を発見したジェンナーを例に引き、こう説きます。「一部の評論家的研究者のように不可能を説かずワクチン開発に挑もう、歴史を学ぶのではなく歴史から学びながら」と。