一般的な会社員が仕事の経験から得る知識は断片的になりがちだ。本書はそれら断片的で細切れの知識の隙間を埋めて体系化してくれるだろう。
筆者はマーケティングは常に顧客起点であるべきだと述べている。そして顧客と一生付き合う事を目指すべきとも述べており、そのための「戦略づくり」説いている。
その文脈からは市場を荒らすだけの行儀が悪い「戦術」はマーケティングや広告のプロの仕事とは言えないと考えているように読み取れる。
企業は製品やサービスを顧客に届けて仕事が成立するが、大企業の仕事は細分化されており、一人が関わる範囲は限定的だ。
身近な例を挙げれば製品開発がある。新製品を開発する場合、開発部署の仕事は開発が終われば完了する。
したがって、開発の理念や消費者メリットを自ら伝えることはできない。
分業の帰結として対顧客、対広告会社、対報道機関の仕事をそれぞれの担当部署が丸抱えした挙句、製品開発部署は言われるままに言い包められる。これでは何かがまずいのは当然だ。
どのような顧客に売るのか、広告会社を通じて顧客にどう訴求するのか、報道機関には何をどのように発表するのか等々、開発後、顧客の手に渡るまでの重要な仕事の多くが開発とは別の部署の担当者により、各々勝手な理解に基づいて推進されるケースが多い。
これは大企業的分業の標準的な姿であり、餅は餅屋ということは理解しているが、製品訴求のベクトルが統一されなければ、伝えるべきものが伝わらない。そればかりか統制が取れていない行動を繰り返せば企業アイデンティティの確立やブランドの確立にも支障をきたす恐れがある。
このような分業の弊害を避けるために、企業内のあらゆる職種が体系的なマーケティングの知識を持ち、統合的な戦略」を作り、連動して事に当たる必要があるだろう。
本書によりマーケティングの全体像が理解できた。今まで消極的になっていた会議にも積極的に参加して建設的な議論ができそうだ。