「人びとと同じものを、できるだけいっしょに、食べ、かつ飲む」。
上からの視線ではなく、世界の人びとと同じ目線でものを見る。
じつにシンプルな目的だ。
しかし、本編が進むにつれ、著者の迷いが見えてくる。
世界中を旅しているのに、いまだに日本をひきずっている自分。
間違った質問をしてしまう、宗教への偏見がある、飢える子供に何もできない自分。
文章には、世界の食の内容よりもむしろ、著者=日本人・欧米人などの恵まれた人々の心の迷いがはっきり写しこまれている。
結局はジャーナリストとしての特権=豊かな日本人の特権を駆使したルポには、当初の目的のようなヒューマニズムは姿を隠してしまっている。
それを批判することは簡単だ。
しかし自分がもしこの立場にあった時、同じことをしないのかと問われれば、しないと言い切れる確信は全くない。
「驚いたり、嘆いたりならだれにでもできる」。
バナナ畑のフレッド青年の言葉が身にしみる。