レビューを書こうと思って,アマゾンのページを見ると,「あれ,本屋で買ったものとデザインが違う」と一瞬戸惑った。そうか,そういうことか,この本は,表紙に中国の切り紙(剪紙というのだそうな)が付けてあるのだが,どうも,一つ一つ違うらしい。その足でもう一度ジュンク堂に行ったら,またまた違う切り紙が貼ってあった。凝ってるなー,と感心したが,どうも私のそうした行動自体が,この本の狙いらしい。つまり「人を動かすのはものである」。確かに,いちいち違ったデザインという「もの」は,それを確かめずにはいられない何か(それを「アフォーダンス」と言うのだそうだが)を持っているような気がする。くだんの剪紙も本書の第1章のテーマなのだが,窓に貼られて一年たてば朽ち果てるその「はかなさ」ゆえに,農家の女たちが何代も何代も,農閑期の楽しみとして再生産してきたのだという。ものや社会といったものが,あたかも「確固」としたものとして生きてきたこれまでの暮らしが,大震災であっという間に揺らいだように,「はかない」がゆえに持続できるものもある。もともと本書がそれを意図していたのかは分からないが,非常に考えさせられた。