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もののたはむれ
 
 

もののたはむれ [単行本]

松浦 寿輝
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

うっとりするほど恐いお話!三島由紀夫賞受賞の詩人・評論家による初の連作短篇集。

内容(「MARC」データベースより)

「本当…。本当はね…」隆司君はそこで言葉を切って、少しの間ためらった。「本当は僕はいないんだよ」三島由紀夫賞受賞の詩人・評論家による初の連作短篇集。

登録情報

  • 単行本: 226ページ
  • 出版社: 新書館 (1996/11)
  • ISBN-10: 4403210562
  • ISBN-13: 978-4403210563
  • 発売日: 1996/11
  • 商品の寸法: 19 x 13.8 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
 ふと立ち寄った妙な喫茶店「並木」。どう見ても普通の民家であり、主人公の男は二階の六畳間に案内される。最初にコーヒーと砂糖壺が運ばれて来たきり後はおかまいなしで、何をするでもなく煙草を吸ってひとり小一時間を潰す。男はそれから10年、気が向くと「並木」に足を運ぶようになる。男にとって「並木」は“ゆるやかな記憶の甦りに身を委ねる場所”だった......
 主人公と「並木」の女主人、従業員の関係も良い。顔を出すと“口許に旧知の人を認めたときの笑みが浮かぶように”なるが“べつだん何か親しい言葉を交わすような間柄になったわけ”ではない。そんな関係について主人公はこう語る。“行きつけの店ができても主人や店員と顔馴染みになって個人的なお喋りに興じたり、ちょっとしたわがままを言って特別扱いしてもらったりするような関係になるのは、煩わしく田舎臭いことのように思われた。今日はといらっしゃいませとで済んでゆくのがいちばん面倒がなくてよい”。
 松浦寿輝の小説はまさに「喫茶・並木」のような味わいである。“ふと人の気配の途絶えた他人の家にするりと入りこみ、束の間の居候のようにして仮の時間を過ごすといった奇妙な快楽”。
 紹介した「並木」のほかにも、“無関係”の関係の居心地のよさ、仮の時間を過ごす快楽を、束の間味わえる魅惑的な短編が詰まっている。夢と現にことさら境界線を引きたがるような人にはまったく向いていない小説ではあるけれど。
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11 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By makocci
形式:文庫
松浦寿輝の処女小説。評論『エッフェル塔試論』を除くと、小説では初の文庫化。松浦氏の文体はある種のトランス状態をもたらすが、本書では、近作にみられるようなねっとりとまとわりついてくるような文体はまだ新芽の段階にあり、短編集であることも読みやすさを助長している。それでいて、氏のその後の方向性を伺わせるには十分であり、松浦小説の入門書として最適といえる。
氏の道程は、生きることの困難なご時世にあって、なんとかして自分が落ち着ける場所を探し求め、自らを定位しようとする不断の試みであるといえる。ところが、氏においては、ようやく自らを定位したかと思うと、その空間はただちに失われてしまうのである。となると、氏の目的は、「ある一瞬を空間化する試み」であるといえるのではないか。解説において、三浦雅士氏が解説において松浦小説を「空間芸術」であるとしたのも、そうしたことの謂いではないだろうか。
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形式:単行本
なにをもって文学というか、は私には分かりませんが、
本作を読んだときに背中に走った電流を文学的体験と
言うなら、まさにそれだ。
私にとって、この作品集の価値は、文学的位置付け
などをすっ飛ばしたところに存在する。

一文、一文にこめられた意味と無意味。
読んでいて苦にもならず、頭を重たくすることもなく、
ただただ、読者の胃腸にずんずん入り込んでくるような
文体。
正直、これほどの美文家は、夏目漱石以来だと思っている。
(あまり賛同者は多くはないだろうが)

活字だけを追って、読んでいる自分自身の精神がうねり、
動き出す作品は、そうそう多くない。
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