時は昭和初期。戦争の大火により「この世」と「あちらの世界」の境界に裂け目ができてしまい、恐ろしい怪物たちがこちら側に入り込んでいる街があるという。この「非存在街(ありえないまち)」が、本作の重要なテーマです。
先生曰く、何か1つのテーマを決めて作品を描きたくなったのだとか。一応第4巻扱いだが従来のシリーズとはほぼ独立しており、この巻だけに興味をひかれるって人が読んでも大丈夫だと思います。
主人公は“手の目”から“小兎(シャオツー)”へと変わっています。手の目の弟子のまだ幼さの残る少女で、彼女にも人の心に潜り込んだりといった不思議な力があります。「非存在街」の化け物と関わり、普通の人間の手には負えない事情を抱えた者たちが、小兎に助けを求めてやってくる。
中盤辺りから面白くなってくる感じ。「霧の夜の子供たち」には泣けた。親の思いは、確かに少女に伝わったんですね。また「大神家の花嫁」で、大神家の彼が本来居るべき世界に飛び立ってゆくシーンが、雄大で素晴らしいと思いました。
全7話中1編を除いて、webマガジン「デジタルホラーM」で配信されたものです。最終話のみ、一部が2色カラーになってます。内容は良いが、160ページほどでこの値はちょい高めか。
この先「もののけ草紙」がどう展開していくかは作者にもわからない…とあるのですが、新装版「夜姫さま」のあとがきに「とりあえず全4巻で完結」と書いてあって、残念に思いました。
なお新装版「夜姫さま」には、「もののけ草紙」の後日譚が2編収録されています。
「オトギバナシ」(番外編)
「家族」
「非存在街 幻の少女」
「非存在街の呼び声」
「霧の夜の子供たち」
「空の怪」
「大神家の花嫁」
あとがき