この手のオカルトチックな怪奇体験を綴った本はいつもは敬遠しているのですが、著者が井上雅彦 編「異形コレクション」(光文社文庫)のアンソロジーにいくつか書いていてそれが面白かった記憶があったのと(著者の幻想怪奇短編集『
美しい家 (光文社文庫)』『
鳥辺野にて (光文社文庫)』などで読むことができます)、ほかのレビュアーの方のレビューを読んで「おっ!」と興味を惹かれたのと、そのふたつが本書を手に取った理由です。そしたらこれが予想外の面白さで、一気読みに走らされてしまいましたよ。
市松人形や白磁の笛など、著者と骨董品ほかのモノとの運命的な出会い、不思議な縁について記した“もののけ物語”。(初出は、マガジンハウス『ダ・カーポ』2004年2月4日号〜2005年2月16日号)
<某月某日・・・・・・>の書き出しから、著者が実際に体験した怪しの出来事、奇妙な出来事が、日記風に綴られてゆく“怪談徒然日記”。(初出は、メディアファクトリー『幽』創刊号〜13号)
本当に怖いと思った洞窟体験、著者が出会いを夢見ている河童体験など、訪れた先で遭遇した波乱万丈、驚天動地の出来事を記した“ほんとだよ”。(初出は、富士見書房『ドラゴンマガジン』2004年2月号〜2007年2月号)
以上の三部構成になっています。
モノに懐かれやすいというか、憑かれやすい体質の著者の不思議体験が、ざっくばらんに飄々と、軽妙かつユーモラスな筆致で綴られていて、理屈抜きで楽しめました。なかでも、第一部“もののけ物語”に収められたモノとの出会い・怪奇譚のいくつかは、波津彬子の漫画『雨柳堂夢咄(うりゅうどうゆめばなし)』の雰囲気が色濃く漂っていて、いたく魅せられました。
単行本のカバー表紙を飾る招き猫も、インパクトありますねぇ。彼についての記述は、第一部“もののけ物語”の中、「復元作業」でされています。表紙の写真で見る限り、著者の腕前、なかなかたいしたもんではないですか。