冒頭の鬼娘に関する一文から、他の書籍からの孫引きであり、続く内容の殆ども先行研究からの切りばりである。著者は他者の論考を、あたかも自分が考えたことのように文章化している。もちろん参考文献には一次資料が一切見当たらない。
また著者は草双紙についても述べているが、少しでも草双紙に触れたことがある人間なら、「黄表紙本」や「絵入りの草双紙(≒自己責任)」といった言葉はまず使わない。このことは、先行研究をみることなく、ごく限られた文献の孫引きから草双紙を論じるという、著者の勇気に溢れた行動の証明として捉えられよう。
「新書」という形式上、言葉や内容に制限が生じるのは致し方ないが、マナーやモラルの遵守はまた別の問題である。
指導教授が卒論を書く学生へ、「こういうことをしてはいけないよ」と諭す際には、最も有効な一冊である。