本書「ものづくり日本の海外戦略」は、今後の事業展開を図る上で「海外」との取引に踏み出すことを検討している、あるいは既に海外との取引をしているが、諸々の取引に絡む国際税務に関し更に深い理解を得たいと考えている中小企業の経営者や経理・財務担当者にとって強力なアドバイスとなること確実です。
「触らぬ神に祟りなし」を信条としがちな我々日本人にとって、移転価格や関税は正に触らないほうが良い得体の知れない厄介者であり、それを避けるが故に海外ビジネスに踏み込むことを躊躇するケースは多々あるのではないかと思います。しかし、本書はその厄介者の得体をことごとく暴いて、小生のような素人にも大変分かり易く、常に全体像の理解の中で個々の留意点を示してくれます。本書の中で紹介されている多くのケーススタディーが効果的な理解の助けになっています。
本書は税務の本でありながら、現在の混迷する世界経済の荒波を乗り越えてゆくためのビジネス指南書として読み応えのある内容です。昨今、海外への技術流出や産業空洞化など、海外進出を消極的に捉える向きもありますが、生き残るためには従来の延長線上に残された答えは少ないことも事実です。本書は、「ものづくり日本」の誇りをかけた積極的な「海外戦略」を模索する経営者に贈る著者のエールであると思います。