大量生産の代名詞となった「フォードシステム」と、産業合理化の究極としてトヨタが誇る「カンバン方式」の連続性を関係者の証言や、関連データを丹念に拾い集めることで紡ぎ合わせ、その過程で俗に「フォードシステム}=ベルトコンベヤーの導入、「かんばん方式」=ジャストインタイムといっただけの通俗的な理解を丁寧に揉みほぐしていく。
圧倒的な後発であるトヨタが、先進アメリカの大量生産として一世を風靡していた「フォードシステム」の核を部品や作業工程などを含んだ「標準化」により「流れ作業」を可能とすること読み解き、世界で自動車産業として生き残るために必死に、会社の能力に応じて推進区制、号口管理、大野ライン、マテリアルハンドリングなどの「改善」を続けた結果「カンバン方式」へと行き着いたということ。
教育により人材を育て上げ、製造部プラス育て上げた彼らによる上と下からの改善の中で流れ作業をダイヤグラム式に管理することが出来るようになった。その中での工夫のアイテムの一つが「(仕掛け/引取り)かんばん」と名付けられているに過ぎないということが非常によく分かる。
トヨタがここ数年の間に一挙に海外進出、生産台数を増やしその短期的な好業績を持て囃す言説は溢れたが、まさにこの本の本旨の通り、トヨタにトヨタの経営力を持て囃す言説の毒が回り、自身の力の源泉(社員教育、成功報酬という還元)を見誤ったが故の短慮であったことが今日の大量リコール、バッシングとして跳ね返ってきたとも読み取くことが可能となっている。