実に50年以上も自ら旋盤工だった著者が書いた、ものづくりに賭ける町工場の人々の仕事と生き様。パソコン、記憶、口だけに頼る自分の仕事とは全く異次元の世界で、ネジ一本の出来栄えに執念を燃やすオヤジ達に、畏敬の念を覚える。自動化やコンピュータ化が進み、かつての熟練工たちの仕事を機械がどんどん肩代わりする時代になっても、いまだに「その人の手にしかできない」という匠の技が存在し、小さな町工場に世界から注文が集まる。戦後日本の高度成長を影で支えたそんな職人たちが現在も確実に息づいていることが、嬉しくもあり、誇らしくもある。
「たとえ結果としてうまくゆかなくても、『遊び』に寛容な職場は人を育てる。」など、あらゆる仕事に普遍的にあてはまる著者の言葉も、随所に光る。軽薄短小な世の中で、ぜひ子どもたちに読んで欲しい。