「ものつくり敗戦」という少しショッキングな題名。
しかし、最近では「ものつくり」で新興国に押されっぱなしになり、
日本企業も業績が厳しいことが気になっていたので手に取りました。
(ノーベル賞受賞者が多いことなどは救いですが)
あとがきの中で筆者ご自身が触れていますが、
自分の幼少時の「弱くて小さな日本」というイメージが心に深く刻まれているようであり、
話が悲観的な方向に流れがちです。いつ日本が崩れ落ちるか分からない、
という感覚があるように感じました。
しかし、それを割り引いても、日本の弱体化の奥深い原因をよくえぐりだしており、
非常に役立つ本でした。
「目に見えないものを見ない」⇒「抽象的な理論をないがしろにしてしまう」
「技術を普遍化させずに職人芸にもっていこうとする。」⇒「規格化できなくなってしまう」
「理論軽視。これは数学軽視に顕著に表れている」⇒「複雑なことがやれなくなってしまう」
これ以外にもまだまだ筆者が指摘している有益な内容はありました。
山本七平氏の
日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21)の主張と
アプローチは違っても重なるものがあり、驚きました。
上記の問題点にも近年では一部改善がみられるそうですが、まだまだ問題山積といったところでしょうか。
目に見えないものを重視するのはユダヤ教の特徴だと聞きます。
(
モーセと一神教 (ちくま学芸文庫)にそうなった原因が明記されています)
そのユダヤ人は科学技術で大きな成果を挙げていることから考えても、
目に見えないものを大切にすることは非常に重要だと思いました。
アメリカの産業や技術は一段階上にいきましたが、
日本も早く段階を上ることが急務です。
国民一人一人が真剣に考え、若い人ならその方向に進路をとるのが
将来の日本に役立つ(本人も遣り甲斐を感じて恵まれる)と思いました。