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だが『もてない男』は、全然ちがう。
小谷野氏の、かつてもてなかったことに対する「恨み節」が、異様な迫力をもって伝わってくる。なぜなら、もし現代日本のほとんどの男性が「恋愛教」に侵されているのなら、その誰もが「もてない男」である恐怖からは決して逃れられないからである。恋愛を至高の価値として認識する限り、人はそんな強迫観念に常に付きまとわれる。その袋小路から逃れようとする小谷野氏の苦闘が、時にほほえましく時に手前勝手な屁理屈に思うこともあるが、そんなことはこの本のすばらしさからすれば大した問題ではない。
ところで小谷野氏の著書の内容って、驚きでガツンと頭をぶん殴られたような知的衝撃を受けるときと、あまりの手前勝手な議論に腹が立って著者の頭をぶん殴りたくなるようなときが交互に訪れるような気がする。そんな意味でいえば、この本は「殴られ率」が非常に高かったので、ところどころで著者の頭をぶん殴りたくなるような手前勝手な表現に出くわしても、なぜか「まあいいや」と許してしまったのだ。逆に、そのとき著者の本音が垣間見えたようでほほえましく思えてしまった。それは、不覚にも小谷野氏に「愛」を感じてしまった瞬間だったのか!?
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