「イラストレーターの先駆者」とも言われた彼の代表的な作品の収録は元より、たまき・彦乃・お葉など夢二をめぐる女性との奔放とも言える遍歴と、大正ロマンの香りがただようグラフィック・デザインの魁のような美の追求をした竹久夢二の生涯を分かりやすい解説でたどる書籍です。
オールカラーで廉価ときていますから、この「もっと知りたい」シリーズはとても気に入っています。筆者の小川晶子氏は、夢二郷土美術館の主任学芸員を経て、現在総括マネージャーをしている方です。
表紙に使用されている「黒船屋」「長崎十二景」「女十題」などの作品は他の画家にない個性が輝いています。
31ページの「アーツ・アンド・クラフツ運動と夢二」に書かれてあるように、ヴィリアム・モリスの影響は確かに受けています。異国への憧れと自然への美を考えると当然の帰着かもしれません。
45ページに書かれていますが、「夢二が生涯に著したたた著書は60冊を超えるが、その約三分の一は児童向けの読み物や詩集、絵本、絵手本である」ということを初めて知りました。これもあまり知られていない一面でしょう。
内容です。
序章 「夢二」になるまで 故郷をあとに、苦学する日々(最初で最後の先生)
第1章 「夢二式」の誕生 新進作家として出発(岡田三郎助の助言、草画 夢二の絵画観)
第2章 生活に溶け込む美の創造 「港屋」開店。飛躍の時代(好んで描いた芝居絵、旅情と郷愁、異国への憧憬、子どもたちの楽園)
第3章 女性美の追求 大正時代の終焉。深まる画境(連作シリーズ 長崎十二景、連作シリーズ 女十題)
第4章 洋行の実現 希望の旅立ち、失意の帰国(理想の女神、遅すぎた外遊)