この本にはプライスさん所有の升目描き作品をめぐって、真贋を論じた部分が出てきます。プライスさん所有の升目描き作品は模倣作である、というのが佐藤さんの主張のようです。ただし、佐藤さんは真贋を純粋に論じているのであって、プライスさんご本人を貶める意図があって書いているわけではないように思います。プライスさんは若冲の評価が低い頃から熱心に収集し、コレクションを自費で日本に送って公開したり、展覧会図録を大量に買い上げたりと、さまざまな貢献をしてくださったと聞いています。自国の美術品が海外に流出するのはさみしい話ではありますが、貴重な美術品を流出させてしまった、日本人自身の貧しい審美眼を恥じることも大切ではないでしょうか。