考古学的な見地から取り上げられることの多い「はにわ」ですが、東京美術の「もっと知りたい」シリーズでの出版ですから、一味違う内容で楽しめました。比較的廉価でありながら、オールカラーで、分かりやすく解説しています。
筆者の若狭 徹氏は、高崎市教育委員会主査で、博士(史学)の学位をもっておられる研究者です。
各地のはにわの状態が豊富な写真とイラストによって掲示してあり、具体的なイメージを得られます。類書を見ませんので、この刊行は価値あるものだと思いました。はにわは、古墳の出土品、埋葬品として300年間にわたって作られてきました。
「ひと目でわかる埴輪年表」や表紙裏の「はにわの大きさ比べ」をみるとその流れやスケールが分かります。埴輪のルーツはお供え壺からスタートし、死者と生者をつなぐステージに置かれたことが述べてありました。
コラムの「白鳥伝説--白鳥に寄せた古代人の思い」「埴輪にみる古代人の座り方」「弦をつま弾く女たち」「鶏埴輪は何を語る」「埴輪も遠くへ旅をする」「裾をまくる女」「埴輪工人の四季」なども興味深く読みました。
15頁に掲載された「五色塚古墳・小壷古墳」は推定復元図を元に整備された古墳です。後円部に立って瀬戸内海にかかる明石大橋を見た時の不思議な印象を思い出し、古代のロマンを感じながら歴史を体験した感動が蘇って来ました。
中高生達への日本古代史への導入段階での使用も考えられし、郷土史家や古代史の愛好家にとっては有用な書籍だといえましょう。このような分かりやすい提示によってはにわを知ることは、歴史を身近に感じられて良いと思いました。