ほかの方のレビューを見て
「もしやモデル小説とご存知でないのでは」
と思うにつけ、コメントせずにはいられなくなった。
母が買ってくる婦人公論をよく眺めていたので
この小説は、連載時から知っている。
これもモデル小説だが、『RURIKO』や『白蓮れんれん』と違い、
どちらかと言うと『アッコちゃんの時代』のように
世間的にあまり知られていない人(あまり知らないのは僕が無知だからか)を
主人公に据えている。
物語は、主人公の若い頃と現在が、交互に進行する。
若い頃を描いた話の流れは、スピーディーで起伏に富み、
現在の話は暗い予感と緊迫感に満ちている。
前者と後者の時間差はどんどん縮まり、クライマックスへと収斂していく。
(あ、フォレストガンプみたいな構成といえばいいのかな)
どういう結末へと導かれるのだろう、と僕は楽しみになってきていた。
しかしそんな折りである。
主人公同様に闘病中であった、モデルの方が亡くなった。
モデルの方は波瀾万丈の人生を歩んだわけだが、
僕が考えていた以上に、小説は現実と近い時間軸で進んでいたようだ。
小説のほうも悲しい哉、その軌跡をなぞらねばならなくなったらしい。
以上のような経緯があり、また、モデル小説と知らなかったのであれば
この小説の読後感はあまりスッキリしたものにならないかもしれない。
ただ、(ノンフィクションではないにしても)この主人公のように
哀切とも壮絶ともいえる、そんな人生を送った女性の存在が
小説の背景に透かし見えてくると、やはりなにか一種感慨深い気持ちになってくるのである。
はい、フォローおしまい。
主人公が若い頃、とりわけ80〜90年代の描写は、
地の文も会話も、そして全体からにじむ雰囲気にも
ちょうど当時の小説に見られるような表現、言葉遣いが(たぶん)意識的に選ばれていて
あぁこのへんはこの著者らしいな、と思ったりもした。
ちょっと甘めに星4つ。