■対象読者
『
なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?―小さな力で大きく動かす!システム思考の上手な使い方』を読んでいる時は理解した気になるが、実際にトライしてみるとなかなかうまくいかない。そんな読者に応えた、同書の実践編/Advanced courseである。
「立場によって見え方は異なる」の節がスッと入ってくれば、事例が豊富な本書が良い。逆にピンとこなければ、
前作の方が本の構成は優れているので、そちらを推奨する。
■ツール編について
システム・ダイナミクスのツール(時系列変化パターングラフ、ループ図など)から、システム論というよりは心理学に近い概念(推論のはしご、左側の台詞など)や、戦略思考ツールの類(氷山モデル・
U理論)まで、用途の異なるものが混在しており、結局、実践編の殆どがシステム・ダイナミクス(ループ図)による分析という展開になってしまっている。学習する組織については、ベストセラー『
最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か』を読んだ方が早い。
■事例(個人/組織/企業/社会)編について
事例は豊富だが、分析はどこかのビジネス本にあるような平凡さが否めない。
ストック/フロー図はループ図の土台になる概念であり、これを用いているのは、評価できる。
■全般について
>システム思考は…さまざまなレベルでものごとのつながりと全体像を見る「新しいものの見方」です。
とあるが、システム思考自体は全く新しくない*。単に、著者らの仕事経歴上の話のようである。
「システム思考」とは、身につけるべきものの考え方のことであり、ハウツーを習得することではない。「ものごとをシステムとして捉える思考」と「ハウツーを用いて事例を考えること」は、全く次元の異なる行為である。「システム思考を使えるようになるには、まず数多くの事例にあたること」とあとがきにあるが、この峻別なしに、思考法をマスターできるだろうか?
*例えば、『
一般システム思考入門』など。