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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
“疑問な”男女の戦略と打算をポジティブに描く,
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レビュー対象商品: もっと、わたしを (単行本)
世の中には「あいつ何考えて生きてんだろう?」「あの二人どうして付き合ってるんだろう?」と素朴な疑問を抱かせる人間やカップルがいる。本書は、そうした“ちょっと疑問な”男女5人をそれぞれの話の主人公とした連作短編である。5つの短編の登場人物や舞台は少しずつ重なっていて、ひとつの日常世界を形作っている。つまり決して“疑問な”男女をピックアップした訳ではなく、意外にわれわれの日常生活を切り取れば“疑問な”人間、カップルが当たり前に存在するのである。人から見ればあなただってそうかもしれない。 優柔不断男、自己チュー男、なりゆき男、美形貧乏くじ女、媚びまくり女...こうした主人公と付き合う相手や友人達も“ちょっと疑問な”人たちばかり。読み始めは、あまりにステレオタイプな人物像と、コメディ過ぎるシチュエーションにちょっと辟易するかもしれない。でも読み進めていくと、それぞれの主人公が表層に纏う“疑問な”人物像は自覚的な戦略であり、人との付き合いは打算であることが透けて見えてくる。そしてこの小説が面白いのは、そうした戦略や打算に主人公が一度は疑問を持ち、ご破算にした上で、結局は戦略や打算を必然的なもの、自らの生き方として積極的に選び取っていく、その姿にある。この二段構えが、「?(疑問符)」の人間を「!(感嘆符)」の人間に変換している。深く、ポジティブな小説である。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
つるつる読めるのでご注意を!,
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レビュー対象商品: もっと、わたしを (幻冬舎文庫) (文庫)
身近にいるようないないような五人の主人公たちが微妙に関わりあうリレー小説。著者の作品を読んだのは初めてだが、普通の何気ない日常生活をドラマに仕立てるというタイプのエンターテイメントを書く人たちの中で、かなり達者な書き手なのではと感じた。「日常生活をドラマに仕立てる」と書いたが、それがとても自然でおもしろくて、 ・無理のある展開や起伏 ・無理のある笑いや涙 ・無理のある読者をひきつけるためのしかけ といったものが目につかない。全くないとは言えないだろうけれど、文章の達者さとリズムのよさでつるりとひっかかりなく読めてしまう。あまりにつるつる読めるせいで、せっかくの旨みを味わい損ねる可能性があるから(自分がそうだった)、二度読まれることをぜひおすすめしたい。 タイトルどおり、「もっと、わたしを」と願う人たちの物語なのだが、一方で、著者自身の「もっと、わたしを」という下心、計算高さのようなものが感じられず、好ましかった。だからたとえ打算的な女性が出てきても、読後感は爽快で気持ちがいいのだと思う。想像に反し、著者はものすごい野心家で功名心の強い人だったりするかもしれないが(であればさらに感心する)、それが透けない技術力をもっている。爽快感の理由の一端はそこにあると思う。 リレー小説なので、次の主人公は誰だろうというのが楽しみだったし、前の主人公が顔を出して消息を知らせてくれるのもおもしろかった。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
まっとうな小説,
By 冬のマーケット (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: もっと、わたしを (単行本)
仕事に、恋に、子育てに生きるそれぞれ「優柔不断」「プライド高過ぎ」「なりゆき任せ」「自意識過剰」「自己中心」な5人の男女を活写する連作短編集。まるで悪意がこもっているかのような辛辣な人物造形の果てに浮かび上がってくるのは実人生の深い味わい。クスクス笑っているうちに少ししんみり、やがて勇気が湧いてくる。特に3話目と5話目は絶品。それぞれの話のつながり方も意外なところを突いてくる。非ミステリーでこれほど面白い小説とは久しぶりに出会いました。
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