日本に戻ってからも著者は、ウイスキーを飲む度に、島の風景やパブの雰囲気を思い出す。旅は、終わってからもまた楽しめるものだということを感じさせる、「ウイスキーの匂いのする小さな旅の本」に仕上がっている。
(日経ビジネス2000/1/3号 Copyright©日経BP社.All rights reserved.)
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また、陽子夫人による写真が素敵です。テーブルを挟んで前に座る春樹さんを
写した写真もあって、村上春樹ファンあるいは村上夫妻ファンにとっては羨ま
しくなるような、プライヴェートな親密な感じがします。
シングルモルトの聖地の風景、工場(というのか?)とそこでウイスキー作り
をしている人々の写真も素敵です。
写真は単行本のときとだいたい同じだが、文庫という判型を考慮して、レイアウトはかなりちがっている。たとえば、見開きで二枚使われている写真が、文庫では左右が逆になっていたりする(110~111)。こんなふうに写真を引き比べて、そういう工夫を眺めてみるのもおもしろい。この本を読みおわると、美しい静けさのなかで充足しているものを、ウィスキーと呼びたくなる。本来、存在するすべてのものは、そういう充足のなかにあったのだという当たり前のことに、気づかされる。
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