外国人に対する日本語教育に何らかの関心をもっている人を対象に、「日本語を教える」とはどういうことなのかを易しく解説した、読み物風の1冊。
何と言うか、熱い本。「日本語教育」という世界を見つめる著者のまなざしの熱さが伝わってくるように感じた。
前半と後半でやや雰囲気が異なる。前半の第一章・第二章では、日本語を教えた経験のない3人の登場人物が、それぞれ自力で授業の準備をし、90分の個人授業を終えるまでを紙上中継しながら、「そもそも外国語としての日本語を教えるとはどういうことか」「言語としての日本語の特徴が教え方にどうあらわれるか」「教えるにあたって何を考慮しなければならないのか」等を明らかにしていく。「外国人に日本語を教える」ということは要するに何をすることなのか、非常に明確なイメージがつかめると思う。また、既に日本語を教えている人にとっても、授業を改善するためのヒントがギッシリ詰まっていると思う。
第三章は、言わば「理論編」。3人の奮闘振りを見直し、論点を整理する。また、教授法等についても簡単にだが触れられている。最後の第四章では、「職業としての日本語教師」について述べられている。この部分が思いのほか熱かった。
私自身は日本語教育にそれほど興味をもっていない者だが、それでも充分面白く読んだ。特に前半の二章は小説仕立てで、読み物としても面白く一気に読んでしまった。1冊の本として考えても、著者のスピリットの若々しさと誠実さのようなものが印象に残る、良書だと思う。