ユーモアミステリ作家の贈る,ひさびさの書きおろし作品です.
特別におもしいろなにかがあったり,ギャグがあるわけではないのですが,
わざと『はずして』いるかのようなセンス,掛け合いに何度も笑わされます.
また,地方都市が舞台のため方言が多く,これも会話にいい味を与えています.
反面,この雰囲気が楽しめないようだと,「サムい」でおわってしまいそうです.
とはいえ,中盤以降はミステリの流れとなり,それまでのユーモアもしずかに.
決して派手さはなく,「やっぱりアレか」というところもあるにはあるのですが,
その『アレ』をはじめとし,何気ないところにあった伏線が拾われていくところは,
それまでのやり取りからはまるで想像もつかず,よい意味でまさかの展開になります.
ただ,『締め』がキレイ過ぎるというか,弱く感じてしまうのがなんとも残念で,
騒動のきっかけになったあることなど,いくつかが置かれたままの印象が残ります.
登場人物たちのその後など,エピローグ的なものが少しでもあればよかったような….
なお,単行本の扱いですがソフトカバーで,電車などでも読みやすくなっており,
また,ノンシリーズの作品なので,はじめての方にもおすすめの1冊だと思います.