パソコン通信で知り合った女性が、直接会いたいと言ってきた。30歳の十四郎としてネット上で
彼女と会話をしていたのは、中学生の幹哉だった。幹哉は、自分が通う塾の講師馬島に十四郎として
彼女に会ってくれるよう頼み込むが・・・。「月の輝く夜」を含む9編を収録。
ミステリーの中には、読んでいる途中で先が分かってしまい、読み終えたときに「やっぱり・・。」と
いう失望感を味わうものがある。この作品は9つの短編から成る。これだけあれば読んでいてひとつや
ふたつ先が分かってしまうものがあってもおかしくないのだが、これがまったくない。どの話にも、
読み手の想像を裏切る意外な結末が用意されている。それは小気味よい裏切られ方で、作者のひねりに
おおいに感心させられる。「次はどんな結末が用意されているのか?」最後までワクワクさせられ通し
だった。読後も満足感が味わえる、面白い作品だと思う。