訳者あとがきにあるように、オリジナルの「世界でもっとも美しい10の科学実験」(ロバート・クリース、2006.9)が既に出版されている。本書は、オリジナル本が全て物理実験であることに対し、実験対象を化学・医学に広げてまとめた趣旨だが、結局は本書でも10のうち、「心臓の動きと血液循環を発見したハーヴィの実験」「ラボアジェの燃焼実験」「ガルヴァーニの動物電気に関する実験」「パブロフの犬を使った条件反射の実験」の他残りの6つは全て物理実験であり、いくつかはオリジナルと重複している。
また、実験の記述内容も極力単純化しており、オリジナルと比較して実験当時の時代背景や、実験の科学的核心の意味合いが少々ぼやけているように感じられた。もっとも、当事者の人間関係や実験に至る人物描写は素晴らしい面もあるが、純粋に科学的思考に対して向上させる面は乏しいように見受けられた。