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もうすぐ絶滅するという紙の書物について
 
 

もうすぐ絶滅するという紙の書物について [単行本]

ウンベルト・エーコ , ジャン=クロード・カリエール , 工藤 妙子
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (16件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 2,940 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容紹介

ウンベルト・エーコ/ジャン=クロード・カリエール
老練愛書家2人による書物をめぐる対話。
「電子書籍元年」といわれる今こそ読んでおきたい1冊!>インターネットが隆盛を極める今日、「紙の書物に未来はあるのか?」との問いに、「ある」と答えて始まる対談形式の文化論。
東西の歴史を振り返りつつ、物体・物質としての書物、人類の遺産としての書物、収集対象としての書物などさまざまな角度から「書物とその未来について」、老練な愛書家2人が徹底的に語り合う。
博覧強記はとどまるところを知らず、文学、芸術、宗教、歴史と、またヨーロッパから中東、インド、中国、南米へとさまざまな時空を駆けめぐる。

この対談は、マーシャル・マクルーハンが「グーテンベルクの銀河系」と呼んだ書物の宇宙への温かい賛辞であり、本を読み愛玩するすべての人々を魅了するでしょう。すでに電子書籍を愛用している人だって本書を読んで紙の本が恋しくならないともかぎりません。(ジャン=フィリップ・ド・トナック 「序文」より)

目次

本は死なない
耐久メディアほどはかないものはない
鶏が道を横切らなくなるのには一世紀かかった
ワーテルローの戦いの参戦者全員の名前を列挙すること
落選者たちの復活戦
今日出版される本はいずれもポスト・インキュナビュラである
是が非でも私たちのもとに届くことを望んだ書物たち
過去についての我々の知識は、馬鹿や間抜けや敵が書いたものに由来している
何によっても止められない自己顕示
珍説愚説礼讃
インターネット、あるいは「記憶抹殺刑」の不可能性
炎による検閲 我々が読まなかったすべての本
祭壇上のミサ典書、「地獄」にかくまわれた非公開本
死んだあと蔵書をどうするか

訳者あとがき 本の世界はあたたかい
主要著作一覧

著者

ウンベルト・エーコ(Umberto Eco) 1932年生まれ。イタリアの中世学者、記号学者、哲学者、文芸批評家、小説家。1980年に発表した『薔薇の名前』(東京創元社)がベストセラーとなり、広く読まれるようになる。ボローニャ大学人文科学部長を務め、多数の著書がある。

ジャン=クロード・カリエール(Jean-Claude Carrre) 1931年生まれ。フランスの作家、劇作家、脚本家。ルイス・ブニュエル作品の脚本家として知られ、手がけた脚本は80余、主な脚本に『ブリキの太鼓』『存在の耐えられない軽さ』があり、大島渚監督作品『マックス、モン・アムール』の脚本も担当している。演出家ピーター・ブルックの台本執筆にも30年にわたって携わり、自身の著作も約30点を数える。

内容(「BOOK」データベースより)

紙の本は、電子書籍に駆逐されてしまうのか?書物の歴史が直面している大きな転機について、博覧強記の老練愛書家が縦横無尽に語り合う。

登録情報

  • 単行本: 472ページ
  • 出版社: 阪急コミュニケーションズ (2010/12/17)
  • 言語 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 4484101130
  • ISBN-13: 978-4484101132
  • 発売日: 2010/12/17
  • 商品の寸法: 17.8 x 13.6 x 4.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (16件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 32,540位 (本のベストセラーを見る)
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64 人中、63人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
バラの名前で有名なエーコ(エコ)とカリエールという劇作家・脚本家の二人が、
司会者が振る観点から書物について語る、という形式です。

二人とも紙の書物に対する熱い気持ち・経験をひたすら語ります。司会者の振った話題・視点から脱線(発展)しまくりで、司会者が本題に戻そうとするのが笑えますが、この人たちはホントに本が好きなんだな〜と思わされます。

ただ、この本が気になる人は多くが紙の本が好きな人だと思います。そのような人たちには二人のインテリが語る内容に思わず「あ、それわかる!」と共感することが多々出てくるはず。エーコと感覚を共有できることなんて、他ではそうそうできない体験ですよ。

また、「自分の本棚にある本を全部読まなくってもいいじゃないか」という彼らのスタンスに、私以外でも多くの人が何か救われた気持ちになるでしょう。そう、「買ったはいいが、ほとんど読んでいない本」についても考えたり、話題豊富。

一方で、電子書籍等に対して紙の本が絶対的に良いと、価値観を押し付けるものでもありません。そこが本物のインテリという感じですが、電子書籍をとにかく否定してくれるのを期待している人にはお勧めできません。彼らの読書や本にまつわる経験・熱き思いに共感できる瞬間に出会えることを期待してください。長文失礼しました。
このレビューは参考になりましたか?
41 人中、38人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By Bibliothekar トップ1000レビュアー
碩学エーコ、脚本家カリエールの2人が相互に自宅を訪問して行われた書物と電子本を巡る対談。両者に通じるのは古書収集家でもあり、500年の歴史をもつ書物の長所も短所も知り尽くした上で、世界的な仕事をなしていることである。イタリアとフランスの知性に相通じる観点こそが印刷された書物である。
 技術の未熟さを指摘し、技術は煩雑なだけで、事物の本質に根本的な影響を与えずに疎外要因に他ならない、などインキュナブラまで所蔵しかつまた読み込んできる碩学ならではの鋭利な指摘が多数散見する。日本の電子本議論はその技術一辺倒の内容が多いが、本書はその対局的な観点で議論され、書物と人間の関係性をその本質である人間の記憶の延長と明確に位置づけて、電子本を議論することで問題構成の多面性と広がりを検討する。
 その視線は言語学者としてプログラミング言語を1980年代から慣れ親しみながらも、若い息子には叶わなかったと独白するエーコの謙虚さを踏まえて、柔軟な考え方に満ちており、読者はその深い思慮と対話に圧倒されるであろう。
  明快な邦訳文は好感が持て、文章中に訳注を入れたのもよい。但し、それは老眼殺しなり。
このレビューは参考になりましたか?
34 人中、30人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By nacamici トップ1000レビュアー
以前、横須賀港に寄港していた米海軍の空母インデペンデンス号を見学したときのことを思い出す。司令室の真ん中の卓上には海図と船の小さい模型が並んでいた。すごいハイテクの船を想像していたので、そのアナログさに驚いたのだが、軍のガイドが、「電気系統が全部やられたときでも最後まで使えるようになっているのです」と説明してくれて、腑に落ちた。ウンベルト・エーコとジャン・クロード・カリエール。欧州の生ける最高の知性の一角を占める二人の、時空を縦横無尽にとびまわりながらの、紙の書物をめぐる尽きない話も、「紙の本」の物理的な確かさについてから始まる。デジタルな記憶媒体は、何年かたつとフォーマットが変わって読めなくなる、そもそも電気がきれたら読めない。その点、「本だけは、昼間なら太陽光で、夜だって蝋燭を灯せば読むことができ」る。大容量のメモリを搭載したコンピュータも電源がなければただの荷物にすぎない。紙の本は違う。その意味で、書物は車輪と同じく、「発明された時点で、進化しきってしまっている」ものなのだとエーコは指摘する。情報を持ち歩く手段として進化しきったかたちとしての紙の本。その意外な強みは、私たちの脳という記憶装置の信頼性を再認識させてくれる。SF映画のように、人間のすべての思考をコンピュータが代行するようになれば、戦争中に大停電が起こった場合、九九をそらで言えるような人間が天才に匹敵する働きをするだろうと、とエーコは言う。「知っておくことで、ある種の知的自律性を確保でき」るということだ。そう、知の「自律性」こそ、この本のテーマである。

質量を伴う紙の本にはデメリットもある。持ち歩けないので、焼き討ちに合えば一瞬でなくなるし、保管しておくスペースがないため、保護する本としない本を選別しなくてはならない。それで西洋では修道院などが中心となって、知を選別し、編集し、伝達していった。文化とはこのように「選別=フィルタリング」を行うことで築かれていった。それを一部の権威による知のランク付けということもできるだろう。インターネットが地球を覆い、誰でもそこに蓄積された知の総体への書き込みと読みだしが自由になったいま、私たちは自分の頭で膨大な情報のフィルタリングを行わざるを得ず、結果的に「世の中に六〇億冊の百科事典があるのと同じようなこと」になっている。情報が多すぎるために、知の総体が記憶とも文化ともいえない、没個性的な集積になってしまっていることに、本書は気付かせてくれる。知識に文脈が与えられる前に、更新をし続けていかなくてはならない現在の状況について、カリエールは「私たちは終身学習刑を宣告されている」と言い、エーコは、われわれは「たえず未来に備える努力を強いられている」と嘆く。

「紙の書物」の利点や美点についてさんざん方った揚句に、「本好き」な知識人が陥りがちな、本を神聖視する行為のばからしさについても延々語る。これまで書かれた本の圧倒的多数が「無能ないしは間抜けな人間、あるいは偏執狂によって書かれた本」であるとか、そこから何かを学ぶというより「読む愉しみそのものが読書の目的になることもある」とか、忌まわしい「新刊強迫症」にどうやって対抗するか、とか。カリエールは新刊も例えば3年寝かせて読んでみてはどうか、と提案する。それも一つのフィルタリングになるというわけだ。紙の本は電子書籍にとってかわられるのか? 町の書店はネット書店に淘汰されるのか? 今起きていることの本質はそこではなく、こういう世の中で、私たちは自らの知の自律性をどう担保するのかということにある。悲観的にならず、衒学的にならず、タイムマシンで世界中を旅するようにめぐりながら、そういったことに気づかせてくれる楽しい一冊。 
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