「社会人のための世界史」と言うコンセプトで書かれた本。私は高校時代に山川出版の教科書を使用していたので、手に取り易かった。「社会人のため」と銘打ってある以上、期待されるのは現代社会の諸課題、例えば、民族問題、社会・経済問題、宗教・思想の在り方等と「これまでの世界史」がどう係っているのかに知見を与えてくれる事である。もう一つ、中高の歴史の授業では「第二次世界大戦」前後で終ってしまったので、「現代史」がどう書かれているかに注目した。
恐らく、興味を持った話題・時代については更なる専門書を読めと言う趣旨で書かれた概説書の位置付けなのだろうが、如何にも総花的である。記述にストーリー性がなく、事象を羅列しているだけとの印象を受けた。山川が得意とする豊富な史料と時代毎の年表がなく(年表は巻末に一括掲載)、歴史の流れが捉えずらい。「現代」以前は、殆ど西欧史になっているのも、ある程度やむを得ないとは言え、偏り過ぎの感がある。最終章「現代の世界」で、まさしく現代のアジア・アフリカ・ラテンアメリカを含めた世界情勢や、中東問題、地域紛争に触れているのが唯一の取り得か。記述は相変わらず羅列的だが。
細かい点だが、文章中に"ひらがな"の使用が多かったり、簡単な熟語にルビが入っている辺り、「社会人」向けとは思えない。私の感覚では、中学生レベルの内容。「学生時代、世界史を履修しなかった方のための」と題した方が相応しいと思った。