前巻、設定こそいつものように奇抜なものが並びつつも順当に話は進んでいき、時計塔編も無事終了・・・と思いきや、ラストでめだかと善吉の決別で幕を閉じました。
喧嘩別れならいざ知れず、ヒロイン(めだか)が『主人公』(善吉)を、あるいは『主人公』(めだか)がヒーロー(善吉)を、さも興味なさ気に殴り飛ばす様は衝撃でした。
そんな流れで始まったこの14巻。
「主人公」であるめだかを倒すためには、自身も「主人公」となって敵対する他ないという安心院の誘いに乗る善吉。
果たして作品としての『主人公』を指すのか、設定としての「主人公」を指すのか、頭がこんがらがってくるのですが、それらを読み解いていく流れは、漫画と言う形を取りながら読み物だなぁと思ったりします。
特に今巻は、新しく始まる話のエピソードが明示されているわけではなく、あくまでキャラの台詞や心境を通して頭におぼろげながらその形を作っていく様は、小説やラノベのそれに近いなと。
めだか然り球磨川然り安心院然り鶴喰然り、圧倒的台詞量からその本心を読み取るのは実に難儀で、それゆえに作品の見所とも言えるのでしょう。
新たに「主人公」となるべく立ち上がった善吉と、それに応じて移り変わった各々の立ち位置とその勢力図。
もはや誰が味方で、誰が敵で、誰が中立なのか分かりませんが、だからこそ飽きが来ません。
セオリーから意図して外れていく紆余曲折な展開は、好きや楽しいではなく"面白い"という表現がしっくりきます。
なるほど、この作品がバトルではなく恋愛でもなくえっちさなどでもなく「言葉遊び」のようなものが主軸に置かれてると思うと、読み手を選ぶというのも頷ける話ですね。