『めだかボックス』は生徒会長の黒神めだかが生徒会メンバーらとともに学園内の問題を解決する学園物である。原作者が『化物語』などで有名なライトノベル作家・西尾維新ということで鳴り物入りの連載開始となったが、ラノベでの人気が単純にジャンプでも通用するほど甘くはなく、ジャンプの掲載順位も後ろの方と低迷した。
転機は球磨川禊の登場である。当時は黒神と「十三組の十三人」(サーティン・パーティ)との戦いが長引いていた。「十三組の十三人」は特殊な能力に長けた異常者(アブノーマル)の集団であるが、異常さという点では主人公が突出しており、キャラクターとして凄みに欠けていた。
そのために「十三組の十三人」の中でも特に異常度が高いとされる「裏の六人」(プラスシックス)との戦いで引っ張らず、球磨川に瞬殺させたことは思い切った好判断であった。その球磨川は「ぬるい友情と、無駄な努力と、空しい勝利」とジャンプの標語を否定するマイナス志向のアンチヒーローである。
物語は球磨川が率いる「マイナス十三組」との「生徒会戦挙」に突入するが、「マイナス十三組」の能力は主人公サイドの能力とは異質であり、敵キャラとしての存在感を放っていた。アブノーマルの中で最もインパクトがあり、その後も活躍の場を与えられた名瀬夭歌(黒神くじら)がマイナスに近い存在とされている点も興味深い。
「生徒会戦挙」の決着後に球磨川は生徒会副会長に就任する。「昨日の敵は今日の仲間」という少年漫画の定番パターンであるが、球磨川はアンチヒーローぶりを保っている。そして球磨川が主役的な活躍を果たすオリエンテーション編で『めだかボックス』の人気も上昇し、ジャンプでの掲載位置も中ほどになった。
「『球磨川ボックス』の方が面白い」との声も聞かれる中で、主人公の活躍が『めだかボックス』の人気にどのような影響を与えるかに注目である。
(林田力)