とうさん鳥に見守られて暮らす、初めて冬を迎えたむくどりの子。でも、もうこの世にいないかあさん鳥が、いつかきっと帰ってくると信じ続けて……。
巣であるほらの出口で「かさこそ」音を立てる枯れ葉に、母さん鳥の羽音を聞いたような気がして、子むくどりが自分の毛で葉を枝に結びつけるところに、日本的な哀さがよく出ていて、胸が締め付けられます。子どもの鳥のいたいけな行動とあいまって、すべてを受け入れて黙っているとうさん鳥の悲しみが、いっそう際立っています。失うということは、その喪失に寡黙に耐えることなのかもしれません。
網中いづるさんの大胆なピンク使いが印象的。まるでかあさん鳥の、子どもを包みこむ優しい魂の気配のようにも感じられました。でも、帯にドーンと「母を恋う気持ちがやさしさを育むことを 静かに語る童話絵本です」と評価じみたことは書いてほしくないとちょっと感じました。