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むかし卓袱台があったころ (ちくま文庫)
 
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むかし卓袱台があったころ (ちくま文庫) [文庫]

久世 光彦
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

かつての人気テレビドラマ「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」では、卓袱台がもうひとつの主人公だ。食事どきや、団欒に卓袱台を囲み、ワイワイ、ガヤガヤ話し合った。卓袱台は、家族の歴史を知り尽くしている。あのころ確かにあった、家族たちのお互いへの思いや、近隣の人たちとの連帯は、いったいどこへ行ってしまったのか。大切なものの行方を探し、遠い日の記憶の中に佇む。敬愛する山本夏彦氏に依頼され「室内」に連載した随筆からは、真摯で繊細で照れ性な作家の姿が垣間見える。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

久世 光彦
1935年東京生まれ。東京大学文学部美学科卒業後東京放送を経て、映像製作会社を設立、ドラマの演出を手掛ける。92年「女正月」他の演出により芸術選奨文部大臣賞を受賞。作家活動としては93年『蝶とヒットラー』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、94年『一九三四年冬―乱歩』で山本周五郎賞、97年『聖なる春』で芸術選奨文学部門文部大臣賞、98年紫綬褒章など数々の賞を受賞。2006年3月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 230ページ
  • 出版社: 筑摩書房 (2006/11)
  • ISBN-10: 4480422455
  • ISBN-13: 978-4480422453
  • 発売日: 2006/11
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.4 x 1.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (1 カスタマーレビュー)
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By sasabon #1殿堂 トップ10レビュアー VINE™ メンバー
形式:文庫
冒頭に書かれている「願わくば畳の上で」では、死に場所にこだわり、どのように亡くなりたいかが記されています。

「新聞の死亡記事を拾ってみたって、(少し略)申し合わせたように<心不全のため・・・都内の病院で>である。だから、たまに、<杉並区の自宅で>などと書いてあると、余計なお世話だがホッとする。しかし、そんな死に方もいまや僥倖のようなもので、(少し略)倒れれば、ものの五分で救急車が飛んでくる。嫌でも病院へ運ばれる。(少し略)家は、死に場所ではなくなってしまったのである。」

この文章を読みながら、世田谷区の自宅で亡くなられた久世さんはそう言う意味では本望だったでしょうね。久世さんの思いが通じたかのような、死に様だと言えると思います。突然の死が僥倖だったかどうかは分かりませんが、不思議ともいえるご自身の最期を演出されたわけで、名演出家の凄みすら感じました。

後半のエッセイでは、若き日の大江健三郎さんとの交友録も記されており、文章の巧みさと相俟って一気に読みました。昭和という懐かしい町や生活を、まるでドラマで再現するかのように記されたこれらの無駄のない文章は、その持っている知性と鋭い感性とをまるで万華鏡のような輝きを持つ文章として綴られていました。

久世さんは、森繁久弥さんの聴き取り書きの「大遺言書」を連載中でした。図らずもご本人の方が先に亡くなられたわけです。人生って不思議なものですね。
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