みんなから,可愛い,可愛いと言われて育ったり,よい子だ,明るい,賢いとほめられて育った人は,ラッキーだ。
でも,その逆だと,なかなか人の好意も愛情も素直に信じられない。
わたしなんか,可愛くない。元気で明るい性格じゃない。そんなふうに一度思いこんでしまったら,なかなか抜け出すのはたいへんだ。
まして,父親が有名人気作家で,めずらしく相手から自分に近づいてくるときには,きまって父親目当てだったりしたら。
そんなうら若き女性が,愛を掴むまでの奮闘記。
我の強いわけではないんだけれど,むしろ自己主張が苦手そうなんだけど,それでも何か不当なことを言われたり,決めつけられたりすれば,いちおう反論せずにはいられない。ちょと伏し目がちにボソボソと,それでも頑張って言い返している姿は,なんだか滑稽で可愛い。
ちょっと太めの体型が気になって,洋服選びになると,落ち込みそうになったり,機嫌がを損ねてみたり,「似合ってる」「可愛いよ」なんて言葉も素直には受け入れられない。それでもなんだかんだいって,結局買って,いざ着る段になってまた一騒動。気持ち,わかる気がする。
主人公の女性の周りの人びとが,またみんな一クセあって,だれも悪い人ではないんだけれど,小さな諍いのネタには不足しない。それでも,お互いに縁を切ることなく,こりずに付き合いつづける。
美人だったり,ハンサムだったり,皮肉屋だったり,子供じみていたり,人物像と人間関係が細やかに演じられているのをみているのは,とても興味深く楽しい。フランス人って,なんか面白い,いい味している人たちなんだなあと思う。知的で,人間通で,世間ズレしていて,しかも子供っぽくって,けっこう純真。
奮闘記は,さりげなくハッピーエンド。それにいたる小さな騒動の数々もふくめて,見終わると,いい映画を見たな,と思える。気持ちのいい佳作。