「心と響き合う読書案内」の続編で、著者がパーソナリティーをつとめるラジオ番組の08年6月〜09年6月の放送で採り上げられた古今東西の「文学遺産」50冊をまとめた秀逸な読書案内。
古くは竹取物語、近世・近代の名作では若きウェルテルの悩み、人形の家、そして現代日本の現役の作家・重松清、山田詠美、角田光代、江國香織の作品に至るまで、ジャンルも童話、戯曲、エッセー、エンターテイメント小説と多岐にわたり、本当に読むに値する本を、決定的なネタばらしになることを避けつつ、小説家ならではの視点で、キャラクターの性格、作品のトーン、そして文体・文書のリズムが典型的に現れる箇所を引用しながら様々なことに気づかせてくれ、未読の本を読みたくなるのはもちろん、既読の本、特に子供時代に読んだきりの本を再読してみたくなる、素晴らしいガイドブックだ。本の森の豊饒さを改めて実感する。
前作は新書だったが、本書は文庫本で、より手に馴染む感じがする。巻末には番組で流した楽曲リストつきなのは前作と変わりない。
立川談春の赤めだかに散りばめられた故・立川談志の名言が心に沁みる。まずはこの本を読むことにしよう。