若夫婦がマイホームを建てようと若いインテリデザイナーに設計を、実際の建築を頑固古風な親父に頼むということで両者の主張がかみ合わずイザコザとドタバタが生じて…というコメディタッチに描かれと完全に「ラジオの時間」と同じ、笑いの方向性にベクトルを持って行く予定だったと思います。が、しかし、実際は暖かいホームドラマにおさまっていると感じます。田中邦衛さんの父親の娘夫婦をみる目線の優しさが大きく影響しているからだと思います。特に、大切な大工道具を屋根裏に置いて家の安全を願う父親の気持ちにはグッときます。個人的に三谷さんにはドタバタと狭い舞台(たとえばラジオの時間ではスタジオ、有頂天ホテルならホテル内)を縦横に駆け回る滑稽さが持ち味だと思っているので今作ではその長所を発揮できずじまいだったかなと思います。とはいっても、それでストーリーがつまらなくなっているのではなく、家を建てながら、家族同士のキズナをも結びつけたまさにホームドラマそのものに仕上がっています。また、この映画の元ネタは三谷さん自身の体験のようですので、三谷さんご夫婦の仲の良さも感じ取れるのではないでしょうか。有頂天ホテルなどとはちょっと毛色は違いますがお薦めできる一作です。あと音楽も良いのでサントラも聴いてみてください。