みぽりんこと岡田美穂ちゃんは2004年に13歳という若さで脳腫瘍のため亡くなった名古屋の女の子。彼女が入院中に描いた絵手紙ふう絵日記を母・典子さんがまとめて出来たのが本書です。
本書を取り上げた新聞記事を今夏、私は入院先の病室でたまたま目にしました。私自身が長期入院生活のさなかに読んだためかもしれませんが、みぽりんがその小さな胸にあふれんばかりに抱えていたはずの夢のほとんどを、かなえることなく逝ってしまったことを思い、涙がとまりませんでした。
退院後に改めて本書を手に取りました。私が最も心を打たれた絵手紙は、本書22頁に掲載された03年5月9日付けのものです。
みぽりんはこの日から放射線治療をスタートさせますが、照射する頭部にかぶる専用のマスクがありました。鼻と口のところだけがあいた、網目状の緑色のマスクをすっぽりと頭にかぶった自分の姿を描いた絵手紙に、みぽりんはこんな風に言葉を書き添えています。
「みぽりん スパイダーマンになる」。
確かにみぽりんのその姿は、ずんぐりむっくりした、躍動感はちょっとなさそうなおっとり型スパイダーマンという風体です。そのコミカルさに思わずくすりと笑わされます。
しかしそのくすり笑いの直後に、大きな切ない思いが襲ってきます。激しい苦痛を伴う病魔と、難儀きわまりない治療。友達と学んだり遊んだりしたい盛りの少女が、自由を奪われた入院生活の中で、生きる楽しさをなんとか探りあてようとしてみつけた子供らしい剽軽さが、この絵には感じられます。
さまざまな枷(かせ)を少しでも忘れようとして搾り出したユーモアに、みぽりんの心模様が見えた思いがして、泣けて仕方がありませんでした。
みぽりんの冥福を祈るとともに、私自身の生きて今あるこの人生に、謙虚に真摯に感謝したい。そんな思いを抱く書です。