団地内から一歩も外へ出ないという特殊な状況に身を置く主人公ですが、それに違和感を感じることなく読み進める事が出来ました。最初は中一の息子にも読ませるつもりで買いましたが、内容を読むと(性描写など)少し早すぎる部分があるので大人だけで愉しむ事にしました。しかし、ここで語られている内容はいたって真面目で、ひたむきで、共感できるところが多く、もう少し子供が大きくなれば是非読ませたいと思わせる内容でした。後半はどのように話は集結していくのか(ページ数も少なくなってきたので)少しハラハラしましたが、納得できる結末になっており、最後はうるっときてしまいました。この一冊を通して少年時代から、大人になるまで心の成長を読んでいくことになりますが、主人公の性格付けがキチンとしているため実話にような錯覚を覚える程でした。狭い世界に生きているからこそ、限られた人との繋がりを大切にする、またそれが崩壊していく事に心悩む様が強く伝わって来ました。極端な状況での物語ですが、自身にもあてはまる心理であり、通ってきた経験と照らし合わせ懐かしい気持ちにさせられました。それは、きっと誰もが狭い世界から人生をスタートするからだと思います。