安達監督は「輪廻」や「エクステ」の脚本で知られるホラーメーカーだ。本作も観る前はジャケットのデザインと「湖」というモチーフからしてホラーテイストかな、と思っていたら全然違った(笑)。小予算作品らしく、撮影も千葉・君津の亀山湖でのみ行われている。不倫関係から別れを告げられた愛人(吉井怜)が逆上、不倫相手の娘(藤本七海)を誘拐して亀山湖までやってくる。目的は自身の自殺を手伝わせることで、不倫相手に罪の意識を植え付けること。しかし、湖には「先約」がいて、若い男性が橋から飛び降り自殺を図る。その男を助けているうちに、銀行強盗をして逃げている女性も絡んで、一晩の不思議な群像劇が始まる。こういうホンは、主役4人の芝居が上手くないと成り立たないが、特に藤本七海と渡辺真起子の演技は絶品だった。藤本の「純粋」と渡辺の「狂気」のコントラストが、本作の価値を高めた。渡辺の狂気は、このまま「愛のむきだし」に引き継がれていくのだが・・・(笑)。吉井怜は「周りに振り回されるメイン主役」の位置づけであり、オロオロしている姿が良かった。この後映画出演がないが(2010年7月現在)、もったいないことだ。TVもいいが、活動写真での芝居も期待したい。この女性3人に囲まれる形の笠原紳司の「弱さ」も際立っていて(もともと命を絶ちに来たのだから当然)、結果4人が夜明けと共に「決意」を新たにする流れも自然で良かった。メイキングを観ると湖はけっこう水が汚く、ここに浸からなければならない吉井と笠原がちょっと可哀そうだったなあ。これはスタジオのプールで撮るべきシーンだと思うが、まあ本人たちも楽しそうに演っていたからいいか(笑)。現場は和気あいあいであり、藤本七海のハジケぶりも可愛い(笑)。星は3つです。