明治時代、まだ女性の地位がそれほど認められていないこの時代にあって、与謝野晶子の作る歌、その生き方は、若者には共感されたが、大人たちは眉をひそめた。しかし彼女は、自分に正直に歌を詠む。その歌はその時代のものとは思えない大胆さだ。臆することなく堂々と自分の気持ちを歌にする彼女の生き方は小気味よい。鉄幹との出会いから、結婚、そして永遠の別れ。彼女の生涯は決して平穏な日々ばかりとは言えないが、充実したものだったに違いない。鉄幹と晶子の生涯を描いた渡辺淳一さんの作品、「君も雛罌粟われも雛罌粟」(雛罌粟・・こくりこ)を読むと、この「みだれ髪」の世界がもう少しあざやかに見えてくるかもしれない。