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4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
形にならない物へのオマージュ,
By Zill (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: みずうみ (単行本)
第1章は定期的に溢れる水を湛える、幻想的なみずうみを中心とした、いしいしんじワールド。白いこびとカバのようなやわらかな生き物ジューイ、 記憶や風景や思いなど、様々な物を溢れる水に乗せて伝え拡げてゆく、湖畔のハンモックの中の深く眠れる語り部。 記憶の水先案内なのか、鯉守の家とそれを受け継ぐことになった少年。 目に見えないものや、流動的に一定の形を成さない記憶や思い、それらを象徴し司ってゆく事柄が描かれる。 第2章ではそれは現実に近いタクシー運転手の姿や日常を借りて、過去未来に緩やかに隅々まで巡っている 帯のような時間の地下水脈を伝って、裏町の売春宿で溢れ出す。 僅かに揺れる薄地の帳が仕切っている沢山の思いも描かれる。 第3章に描かれるのは作家自身とその妻や友人達を想起させる人々。 作家やその周りの人々が現実に行動したり動いたりした場所、時間、起こった象徴的な出来事・それらの記憶、形にならない思い、その意識の中を 様々な感情や記録を孕んでコポリコポリと溢れ出る水、出現するみずうみ。 第1章で現れていた様々な事柄や人々(或いはそれが託されていた役割)が 一方向に収斂して思いを形作ってゆく。 それらの根底に意識されるのは、目に見えなかったり、形になっていなかったとしても、 確実に存在していた事柄・物・人・現象、それに対する記憶、思いの肯定であり、畏敬の意識であり、オマージュだと思う。 今までの彼の作品世界をベースに、モチーフを現実世界にもリンクさせ、大きな共感と共に、新しく作品の振幅が広がった気がする一冊。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
買いかもしれませんが・・・。,
By
レビュー対象商品: みずうみ (単行本)
水、水の立てる音、あるいはかたちのないものを符牒に、まったく異なる三つの場所を舞台を紡がれた物語。ということはわかるのですが、そういった意匠によるのか、自分の頭のなかで文章が像を結ばず、正直読むのがつらかったです。時間をおいてまた読んでみたいと思います。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
世界は繋がっている,
By かよ - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: みずうみ (単行本)
第1章から第3章に進むにつれて、御伽噺のような世界から現実の世界へと、だんだん近づいてくるような物語でした。全章を通じて「水」「流れ」がキーワードとなります。 なかでも以前の章でキーとなったもの(例えば、鯉や帳や白い石など)が登場して、「一体今度は、どのように繋がるのだろう?」と話に引き込まれていきました。 場所も、時代も、全く違う物語が繋がっていく。 それぞれの場所で、時代で、役割で、どんな事件があっても人は生きていく。 「水」「流れ」「懐かしさ」など、人の力の及ばない、大きなものに見守られ、流されながら、人は繋がり、生きていく。 私はこの本を読んで、世界の大きさを感じました。
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