高校生の主人公の恋愛ストーリーから始まりますが,突然暗雲が立ちこめるかのように,主人公たちを原発事故が襲います。
エルマーとの離散,家族の死,被爆,とハンナには過酷な運命が襲いかかりますが,ハンナはエルマーと再会し,その過酷な運命にも果敢に立ち向かい,人間的にも成長していきます。頭髪を失っても帽子をかぶろうとしないところにハンナの前向きな気持ちがよく表現されています。特に最後の場面は,希望を感じ取ることができる内容で救われます。
DVDには監督や俳優のインタビューが収録されており,その中で監督はハンナ役のパウラ・カレンベルグについて,ハンナに期待される要素をいずれも持ち合わせた女優であると賞賛していましたが,スキンヘッドにしてまでこの役を演じきったパウラの熱演なしにはありえない映画といえましょう。
ところで,人々が駅に逃げ込むパニックシーンは,本当に不気味で,見る者に強い恐怖心と不安感を与えます(メイキングには,実際の撮影現場も映っているのですが,これを見ると,観客に恐怖心を与えるようにうまく編集されていることがわかります。)。原発事故そのもののシーンが描かれていないのも,見る者の想像をかき立て,恐怖を大きくしているのではないでしょうか。