漫画界の内情を面白おかしく時には行き過ぎて凄惨に描く連作短編。
収録作。
1.締め切り間際の修羅場で漫画家がアシスタントの心の闇に初めて気付き戦慄する「アシの条件」
2.漫画ファンの身勝手かつ愚かだが尊い忠誠心を描いた「読者の魂」
3.漫画一筋、三十路の女流漫画家の前に現れた運命の男性。「ステキな女(ひと)だから」
4.20数年後の近未来、某有名同人誌即売会の60歳以上サークルを集めた爺島を描いた「老後」
5.漫画以外のタレント業に欲を出した漫画家が嵌る陥穽を描いた「僕は文化人」
6.行き過ぎた完璧主義で身を滅ぼす漫画家を描いた「修正作業」
7.唐沢氏が金を払わない読者をどう思って居るかが少し解って怖い「泥棒くん」
8.連載誌ビームは東日本大震災に関わる作品を多々掲載したが一番黒かった「リセットくん」
9.後鰓類研究は昭和のやんごとなき御方の専門で有った事を思い出した「俺のうみうし」
10.漫画家ブログ等で時々話題となる原稿紛失後のうんざりするドタバタを描いた「紛失」
11.ここでも漫画の力以外に小技を使って伸し上がろうとした若手漫画家が手痛い過ちを犯す「僕はミステリアス」
流石にネタに使い廻しや薄い物も見受けられるが、それでも描き続ける業深さ自体が本作の趣旨ピッタリのメタなギャグになる怪作。
この巻には読者を主人公にした作品も2作収録。
1の怪アシスタント、4の老同人達、10の作者の実体験のアレンジ作が特に読み応え有り。
なをき氏の優秀なブレーン、唐沢よし子氏のあとがき付き。