「まれびと」といえば折口信夫。
折口学の根幹ともいえる「まれびと」という概念の発想のきっかけになったのが、沖縄でのフィールドワークだとされている。
最初は、このタイトルにつられて購入。
沖縄や奄美で信仰されるニライカナイという理想郷があるが、本島からみた「海の彼方」である沖縄、あるいは「沖縄」からみた「まれびと」について、4つの異なる時代・視点において描かれる。
第1章は、近代における「沖縄学」の父といわれる伊波普猷と、彼に決定的な影響を与えた新潟出身の国語教師・田島利三郎を描く。
伊波の名前はかろうじて知っていたが、田島利三郎という人については初めて知った。
琉球に源為朝がやってきたという「偽史」はいかにして生まれ、固定化したのか、という2章めとあわせて、琉球・沖縄という場所が、日本や中国などの“大国”の思惑にいかに翻弄されてきたかがよくわかった。
池上永一『テンペスト』とあわせて読むのもいいかも。
また、幕末、西欧諸国の思惑と琉球王国の危機に揺れる時代に滞在したユダヤ人宣教師・ベッテルハイムの物語と沖縄芸能についても、丹念に描かれていた。
正直、市場が飽和気味の新書は、タイトルだけで内容が薄いモノも少なくないので買おうか迷ったが、「刺激的な日本/琉球・沖縄論」というキャッチに偽りなしでおもしろかった。
もちろん、ページ数の関係で駆け足な部分もあるが、リゾートや基地だけではない沖縄の姿を描いた入門書として、最適だと思った。