1.迷いなく2.雪雲3.氷砂糖4.蕾5.えぐり出して6.過去7.姫林檎8.朧月夜9.忘れないでいて10.影法師11.拝借12.好きな様に
オーガニックな声がアレンジの幽幻的な世界観の中で不思議な浮遊感を保っています。だから彼女の声や音楽は、yae等のように、POPSの中にヒーリングや幻想的なものが息づいた独特な効用をもたらします。その声に導かれてパーソナルな内面世界へ泳いでゆき、満たされてゆく音楽なのですね。今作ではバンド編成の音作りですが、しかしエレクトロニカに特徴的な、音に映像を喚起させる側面は楽器が変わっても健在で、5「えぐり出して」のベース音が伝わってくる楽曲など彼女の鼓動がVIVIDに伝わってきます。
一方歌詞がもつ独特の棘や視点は緊張感をつくりあげており、この点は大きな魅力です。6「過去」は内側をえぐるようなことばの皮膚感覚がみどころで、編曲と共にイメージが広がってゆきます。他方ファルセットを使い、ことばのやさしさに繊細さを施す7「姫林檎」の淡い感覚も彼女の一部なのですね。他にこのファルセットのしなやかさが音と結びつく例では11「拝借」の、加速する音の中で声が自由に泳ぐ様子も聞き逃せませんし、ファルセットでなくともラストの「好きな様に」でレースのようなセンシティヴな歌声の編まれ方はこの歌手の効用を受け取った瞬間でした。