我が国の流通業において、「プライベートブランド=PB」の定義づけに混乱が見られる(世間一般には「ナショナルブランド=NB」の対義語であるとみられているが、むしろ「ストアブランド=SB」との区別が重要。このことは、渥美某の率いるPクラブで繰り返し指摘されている)のは、第一次PBブームの頃から基本的に変わっていないが、本書は、PBを単なるダブルチョップから区別することで、著者の考える「あるべきPB像」が鮮明になっており、この点は類書中の白眉といえる。わが国の有象無象(あるいはピンキリ)の「自称PB」のなかで、「トップバリュ」が最も「あるべきPB」に近いポジションにあることも、納得できる記述になっている。
一方、本書でネガティブな評価を受けている「セブンプレミアム」および「コープ商品」に関し、個々の指摘には肯けるものが多いが、両ブランドの関係者に対する取材の形跡がまるでみられないのは、どうしたことか。反論権を保証しない取材はフェアとはいえない。本書全体が、イオン関係者および渥美某周辺への取材のみで一丁あがり、あとはダイエー「セービング」の成り立ちに少し頁を割く程度で、西友「グレートバリュー」やCGC商品については、一応名前を挙げてみただけ、というのは、いかがなものか。著者に加え、事前に原稿に目を通しているはずの編集者の力量に疑問を抱かざるを得ない。続編に期待したいところだが、この方面は、こと食品や日用品の安全性となると小若だの垣田だのが第一人者扱いされる未成熟な分野であるから、それも虚しかろう。