ぼくは、よしもとさんの「キッチン」と「つぐみ」しか読んでないけれど、ハワイに行くガールフレンドにプレゼントしようとこれを買った。そして2時間で読んでしまった。うーん、よしもとさん処女作から変わっていない、いやいやずいぶん大人になってる、でもうまい小説だなあ。主人公のせつなくて、かなしい心象が剛速球でストレートに伝わってくるんだ。あまりに痛々しくてもらい泣きしそうなくらい。読み終わって自分がやさしい人に生まれ変わった気がしたよ。3編に出てくる主人公はそれぞれに複雑な境遇にあるけれど、よしもとさんはその主人公を借りて人間のやさしさやはかなさを描こうとしたのだと思う。とりわけハワイのおだやかな自然のなかにいるとそれがいっそうきわだつと言いたいのか。ぼくはこの短編集を幾度も読み返すだろう。次はハワイで読みたいな。さらに深く感動するだろうから。