本作は宮崎康平の一代記だ。本来ならば、この作品は東宝が手掛けるべきだった。早大時代は森繁と舞台を共にし、1940年に宮崎が入社したのは東宝脚本部。大東亜戦争終戦の頃に父親が経営する宮崎組&島原鉄道に転籍した経緯があるからだ。早大の学友・森繁の名が劇中頻繁に出てくるのは、そういう理由がある。まあ現代の東宝・東映は「映像管理&不動産会社」の意味合いが濃いから、どちらでもよいのだが(笑)。作品としてもちょっと辛い。冒頭、北京での和子のシーン、それから島原鉄道で辣腕を振るう康平のシーンは本当に必要だったのか?あまりに唐突で、後のストーリーに全く繋がらないからだ。康平が光を失ったのは1950年・33歳の時だ。よって本作は1951年以降のストーリーが軸なので、バスガールや労働組合の場面などを膨らますよりも、和子と康平の時間をもう少し描いた方がよかった。なにより「邪馬台国探し」の大テーマが薄れてしまったのが、最大の問題だろう。島原を舞台にしているのに、映像に拡がりがないのも辛かった(まあメイキングを観ると島原以外にも静岡や丹沢で島原を撮っているので、仕方ない面もあるが・・・)。堤組は色々な素材を見事に仕上げてきたが、正直本作は厳しい出来だったと思う。セリーヌ・ディオンの日本語はご愛敬だが(笑)、大島ミチルの雄大なスコアは魅力的だった。吉永小百合は今回も吉永小百合で(笑)。良くも悪くもこれがこの女優の魅力でもある。竹中直人はちょっと暴走気味だったが、実在した康平のイメージを踏襲したのだとすれば凄い芝居である。特典ディスクにはメイキング・インタビューなどが盛りだくさんに収録されている。星は2つです。