マクラウド家シリーズ。トマス・マッキノンが買ったお城と、彼がお城を補修する間に宿泊するお宿には、孤高の美女な幽霊:アイオランシと、守備隊の幽霊一団(ハイランダー達の寄せ集まりとも言う)と、おせっかいで愉快な三人の幽霊(『完璧な恋の組み合わせ』参照のこと)がおりました。頭の柔軟なお家柄、トマスはすぐに馴染みますが、その一方で謎は深まります。600年間、名前を隠していたアイオランシの名前を、どうしてトマスは知ったのか。二人共通する既視感は何故に?そして立ちはだかる、最大の障壁。片や生身の人間。片や生きていない幽霊。二人の想いはどこへ昇華するのか?
素敵。
一場面一場面が、まるで切り取られた一幅の絵画のように、美しく、そして細部まで精密に描写されています。
ひたむきに、とてもひたむきに積み上げられていく、愛。
丁寧に畳み込まれてくる物語に、思わず惹きこまれてしまいました。
これまでのリン・カーランドの物語に必須だった、天然かつ軽快で愉快な主人公たちではありません。
純正、純愛。
真っ向しに、ひとさしごとに誠実さを眼差しに込めて、信頼を築きあげていく、王道ロマンス、ここにあり!
愛する彼女がくつろげるようにと、お城の一部屋をアイオランシのためだけ仕様に作り上げる、トマス。
ゆっくりと、だけども確実に心をほぐされていくアイオランシの、トマスを見つめる姿。
やるせない、切ない、手をのばして触れ合うこともできない、だからよけいに愛おしい。
ため息が漏れそうなくらい、美しいロマンスです。
そしてトマスは、彼女を愛するあまり、最大級「彼女のためにできること」を成し遂げようと、自身の全てをもって挑みます。
男やねえ。
その覚悟、その意気や良し!
惚れ惚れします。
中盤からは、もはやお馴染みメンバー:ジェイミーを筆頭に、オールスターキャストが、どーんっ!
なんて、ゴージャスな。
それだけでも一読の価値あり、デス。
そして、タイムトラベルものにつきものの、あのジレンマ「過去を変えれば未来は変わるか?平行世界が出来上がるのか?ループになるのか?」が語られます。アイオランシの親戚で現代幽霊のダンカンが、トマスに語る言葉は、そのまんま筆者の意見だと考えていいでしょう。なるほど。ダンカンが600年かけて考えたという哲学、誤魔化しだーと思うより、腑に落ちたと思う方が素直とみた。
ド・ピアジェ、マクラウド、どの人がどの家系だったっけ…と、一瞬ぐるぐる回ってしまいましたが、大丈夫!
読み進めるうちに、思い出すのもまた楽し、です。