前田とも氏のファンタジー「つくろい屋」シリーズ、完結編。
異世界とリンクしてしまう、世界の「ほころび」をつくろう「つくろい屋」の青年と、機械人形の少女のお話。
意地悪で優しいつくろい屋の青年レムの、時々見せる淋しい顔の訳が明らかに。
最後のお話の水に沈んだ村と、レムの言葉に泣かされる。なんでこう震災とリンクするんだろう。発行は2010年だから、全く関係ない筈なのに。
この本を手に入れたのはずっと前で、その時も「良いな」と思ったけれど、読み返して改めて好きになりました。
「楽しかった事を忘れずに 悲しかった事も持ったままで それでも」…。
最後のレムの言葉は、復興に向かう人々へのエールのようです。
優しくて、淋しくて、切なくて、でも温かい物語。
ファンタジーな設定に耐性があり、かつ切ないお話がお好きな方ならきっとお気に召すと思います。
甘苦い薬湯のような、短いお話の詰め合わせ。
心がちょっと疲れたお方、その心のほころびも、つくろい屋のレム青年がきっとつくろってくれますよ。